ある夜、一人の男性が夢を見ました。
それは、海岸を歩く夢でした。
彼は歩きながら、自分の人生を振り返っていました。
ふと足元を見ると、そこには二組の足跡がありました。
ひとつは自分のもの、もうひとつは神様のもの。
神様はいつもそばで寄り添い、一緒に歩いてくれていたのです。
しかし、彼の人生で最も苦しく、悲しみに打ちひしがれていた時期の足跡を見ると、そこには一組の足跡しかありませんでした。
彼は神様に尋ねます。
「神様、私はこんなに辛いとき、あなたを必要としていました。
なのに、どうして私を置いていってしまったのですか?」
すると、天から優しい声が聞こえてきました。
「愛するわが子よ、私は決してあなたを見捨てたりはしない。
その足跡は、あなたのものではなく、私の足跡なのだよ。
あなたが苦しみ、歩くことさえできなかった時、私はあなたを背負い、歩いていたのだから。」
***
この詩は、私が自主上映した映画『宇宙(そら)の約束』に登場したものです。
心に深く残り、忘れられない詩となりました。
「神」とは必ずしも宗教上の存在とは限らないということ。
誰の心の中にも、大きな愛で包み込んでくれる存在がいるのかもしれません。
それは神様と呼べるものかもしれないし、自分自身の奥深くにある「もうひとりの自分」かもしれません。
「神様」「ハイヤーセルフ(高次の自己)」「サムシンググレート」「真我」
どれも正解だと思います。
そして、その存在はまるで見えない力で我々の背中を押してくれるようです。
どんなに辛い試練の時でも、すべては未来のより良い日のためにある。
人生には、どうしようもないほどの悲しみや苦しみが訪れることがあります。
そんなとき、「私はひとりぼっちじゃない」と思えることが、どれほど大きな支えになるでしょうか。
どんなに辛くても、どんなに先が見えなくても、きっと大丈夫。
今ここにいるあなたも、そして私自身も――。